己のペースで大自然を駆け抜ける耐久レース
オフロードバイクの競技にはいくつか種類がありますが、その中でもエンデューロは「耐久」を意味する名前の通り、長距離や長時間を走破することに重きを置いたレースです。人工的に作られたジャンプ台などをハイスピードで競い合うモトクロスが短距離のスプリント走だとするなら、エンデューロは自然の地形を舞台にした過酷なマラソンのようなイメージと言えるでしょう。
レースの時間は短いもので数時間、過酷なものになると数日間に及ぶこともあります。そのため、ただ速く走るだけでなく、体力を温存しながら確実にマシンを前へ進めるペース配分が何よりも鍵を握ります。自分自身の体力やバイクの調子と常に対話しながら、広大な自然のコースを自分のペースでじっくり攻略していくのが、エンデューロならではの醍醐味です。
予測不能な山の地形や深い泥を攻略する非日常のワクワク感
エンデューロの最大の魅力は、なんといってもありのままの自然を舞台にしている点です。林道の中の木の根が張り巡らされた道や、ゴツゴツとした岩場、さらには川渡りや、バイクが埋まってしまうほどの深い泥(マディ)など、コースには予測不能な障害物が次々と待ち受けています。
サーキットのように綺麗に整備された決まったラインはなく、刻一刻と変化する路面状況を瞬時に読み取り、どこを走れば安全にクリアできるのかを考える知的なライディングが求められます。時にはバイクから降りて自分の手で押したり、歩いて最適なルートを探ったりすることもあり、日常の生活では絶対に味わえない大冒険と、泥だらけになって遊ぶ童心に返るようなワクワク感が、多くの女性ライダーを虜にしています。
完走したときの圧倒的な達成感と仲間との絆
過酷な大自然を相手にするエンデューロでは、他のモータースポーツにはあまり見られない特有の温かい文化が根付いています。それは、コースの途中でスタック(立ち往生)してしまったライダーがいれば、順位やチームの垣根を越えて助け合うという精神です。急な坂道(ヒルクライム)でバイクが登れなくなったり、泥にタイヤが取られて動けなくなったりした時、周りのライダーや観客が一緒になってバイクを引っ張り上げてくれる光景は、エンデューロの会場ではごく当たり前の日常として見られます。誰かとタイムを競い合って勝つこと以上に、過酷なコースを自分自身の力と周囲のサポートで乗り越え、無事にチェッカーフラッグを受けて完走を果たした瞬間の達成感と仲間との強い絆は、一度経験すると忘れられない一生の宝物になります。
エンデューロは純粋なスピード以上に、自然の地形を読み解く知恵と諦めない持久力、そして助け合いの精神が輝くオフロードの耐久マラソンです。まずは林道ツーリングや初心者向けのエンデューロイベントに足を運び、大自然の中で泥だらけになりながらバイクを操る非日常の冒険を体験してみましょう。

