ダンベルで鍛える女性
ROAD RACE

ロードレースに必要な体力づくりとは?

強烈なスピードと重力に耐え抜くための体幹と下半身の強化

ロードレースの華やかなイメージとは裏腹に、サーキットでのライディングは想像を絶する過酷なスポーツです。時速200kmを超えるスピードからのフルブレーキングや、車体を地面すれすれまで倒し込むコーナリングでは、ライダーの体に強烈な重力加速度、いわゆるGがかかります。このGに耐え、約160kg以上あるバイクを正確にコントロールするために最も重要なのが、強靭な体幹と下半身の筋肉です。

特に、太もも内側やふくらはぎを使ってガソリンタンクを強く挟み込むニーグリップは、ロードレースにおける基本中の基本となります。下半身でしっかりと車体をホールドできていないと、腕に無駄な力が入り、繊細なアクセルやブレーキの操作ができなくなってしまいます。

憧れの女性レーサーたちも、日頃からスクワットやランジといった下半身の筋力トレーニング、そしてプランクなどの体幹トレーニングを地道にこなしています。バイクの上で決してブレない体の軸を作ることこそが、安全に、そして速く走るための第一歩となるのです。

長丁場のレースで集中力を途切れさせない心肺機能の重要性

バイクはエンジンで走るから疲れないのではと思われがちですが、それは大きな誤解です。レース中のライダーの心拍数は、フルマラソンや激しいスポーツをしている時と同等、あるいはそれ以上に跳ね上がります。さらに、分厚い牛革製のレーシングスーツを着込み、エンジンの熱や夏の熱いアスファルトからの照り返しを直接受けるため、体力の消耗は計り知れません。

ほんの一瞬の判断の遅れや操作ミスが重大なクラッシュに直結するロードレースにおいて、チェッカーフラッグを受ける最後まで高い集中力を維持し続けるためには、優れた心肺機能が絶対に不可欠です。息が上がって脳への酸素供給が滞ると、視界が狭くなり、ライン取りやブレーキングポイントのミスを誘発します。

そのため多くのトップレーサーは、バイクに乗るトレーニングだけでなく、日々のランニングやロードバイクでの走り込みといった有酸素運動を欠かしません。基礎体力を底上げすることで、過酷な環境下でも冷静にマシンの状態を感じ取り、的確なライディングを続けることができるようになります。

重いヘルメットと強烈な風圧に負けない首周りのトレーニング

ロードレース特有の体力づくりとして、意外と見落とされがちなのが首周りや背中の筋肉です。サーキット走行では、安全規格をクリアした頑丈で重量のあるフルフェイスヘルメットを着用します。その状態で長いストレートを猛スピードで駆け抜ける際、頭部には台風の暴風雨のようなとてつもない風圧がのしかかります。

コーナーの先をしっかりと見据え、視線を常に安定させるためには、この強烈な風圧とヘルメットの重さに耐えうる首の強さが必要不可欠です。首周りの筋肉が弱いと、走行中の振動や風圧で頭が揺さぶられ、すぐに疲労が溜まって視界がブレてしまい、安全な走行が困難になります。4輪のレーサーが首を鍛えているのを見たことがあるかもしれませんが、2輪のロードレースでも全く同じことが言えます。

日頃から首のストレッチを入念に行い、適度な負荷をかけて首から肩、背中にかけての筋肉を鍛え上げることが、結果としてラップタイムの向上や転倒時の怪我の防止に大きく繋がっていきます。まずは自宅でできるプランクなどの体幹トレーニングや、週数回の軽いジョギングから始めて、スピードと重力に負けない基礎体力づくりに挑戦してみましょう。