ガッツポーズをする女子高校生
ROAD RACE

藤原雫花

レーサーの特徴

全日本ロードレース選手権のJ-GP3クラスにおいて、鮮烈な印象を与えている若手ライダーの一人が藤原雫花(ふじわら しずか)選手です。2008年生まれ、現役の女子高校生でありながら、国内最高峰のレースカテゴリーに挑戦を続ける彼女のキャリアは、驚くべきことに3歳から始まっています。

多くのトップライダーがそうであるように、彼女もまた幼少期からエンジン音と共に育ってきました。バイク好きの両親の影響を受け、3歳で初めてポケットバイク(ポケバイ)にまたがり、物心がつく頃には週末をサーキットで過ごすのが日常だったといいます。5歳上の姉とともに家族でレース活動に取り組み、単なる習い事の枠を超え、生活の一部としてモータースポーツに親しんできました。

8歳からは「秋ヶ瀬74daijiro」のエキスパートクラスに参戦し、その後も10歳で100ccのミニバイク、13歳からはCBR150Rといった本格的なミッション付きバイクへと着実にステップアップ。特筆すべきは、女性ライダーの育成に定評があるTeam MARI(チームマリ)でその才能を磨いた点です。元WGPライダーである井形とも氏が代表を務めるこの名門チームのサポートを受け、正確なライディングフォームとレース運びを基礎から叩き込まれました。現在はその実力を買われ、数々のトップライダーを輩出してきた強豪「P.MU 7C GALESPEED」に所属。長年の経験に裏打ちされた指導体制と、物心ついた時からバイクを操ってきた彼女の感覚が融合し、非常にスムーズで無駄のないライディングスタイルが形成されています。

戦績

藤原選手の才能がより多くのレースファンの目に留まるようになったのは、2022年から本格参戦を開始した「筑波ロードレース選手権」での活躍でしょう。彼女が戦うJ-GP3クラスは、250ccの4ストローク単気筒エンジンを搭載した純レーシングマシンで争われるカテゴリーです。軽量な車体と非力なエンジンパワーゆえに、コーナーリングスピードをいかに落とさずに走るかという高度な技術が要求されます。

この激戦区において、彼女は着実にリザルトを残していきました。参戦当初から予選・決勝ともに安定した走りを見せ、2023年シーズンには筑波ロードレース選手権J-GP3クラスで見事シリーズチャンピオン(年間ランキング1位)を獲得。この輝かしい実績により、国内ロードレースの頂点である「全日本ロードレース選手権」への参戦資格を手にしました。

地方選手権と全日本選手権では、レベルの差はもちろん、走行するサーキットの規模や環境も大きく異なります。しかし、彼女は臆することなく挑戦を選択しました。筑波サーキットというテクニカルなコースで磨かれたコーナーリング技術は、鈴鹿サーキットやオートポリスといったハイスピードコースでも大きな武器となります。特に、軽量級ライダーのメリットを活かしたブレーキングの鋭さと、旋回速度の高さは彼女の持ち味であり、ベテランライダーたちと競り合う中でもそのポテンシャルの高さを随所に見せています。

活動

プロレーサーへの階段を駆け上がる一方で、藤原雫花選手は現役の高校生として学業にも励んでいます。平日は学校に通い、週末はサーキットでの練習やレース活動という多忙なスケジュールをこなす日々。テスト期間とレースウィークが重なることもあり、その両立は並大抵の努力ではありません。しかし、彼女のSNSやインタビューからは、レースができる喜びと周囲への感謝の言葉が常に発信されており、そのひたむきな姿勢が多くのファンを惹きつけています。

モータースポーツはお金のかかるスポーツでもあります。特に全日本クラスへの参戦となると、マシンのメンテナンス費用、遠征費、タイヤ代など、莫大な資金が必要です。彼女はこの課題に対しても、クラウドファンディングを活用して支援を募るなど、現代的なアプローチで自らの道を切り拓いています。「女子高生ライダー」というキャッチーな肩書きだけでなく、自らの言葉で夢を語り、支援者と共に戦うスタイルは、新しい時代のレーサー像とも言えるでしょう。

2024年シーズン以降も、全日本ロードレース選手権J-GP3クラスでの更なる飛躍が期待されています。まずはポイント獲得、そして表彰台の頂点へ。女性ライダーの活躍が目覚ましい近年のモータースポーツ界において、藤原雫花選手は間違いなくその中心を担う存在になっていくはずです。サーキットで見かけた際は、その小さな身体から繰り出されるガッツ溢れる走りに、ぜひ注目してみてください。